【 タブレット型電子書籍端末のビジネス戦略】

6月時点のiPad、300万台販売という状況は、アップルにとっても、内心予想外の展開であり、アップルは生産増強を余儀なくされ、ディスプレイ部品等の確保で韓国サムスン等に助けを求めているようだ。
iPadそのものは、非FLASH対応、非カメラ搭載、パソコンとの互換性の問題等、考えればいろいろあるものの、実際の売れ行きが好調であるため、当初想定された対市場戦略は、よい意味で、軌道修正しなければならない。

すなわち、iPad周辺ビジネスへの取組強化、Android等の新製品の投入、オープンプラットフォームを利用したハード(または、コンテンツ、サービス)の投入、アプリマーケットへの強化、提携企業推進、関連コミュニティの強化、ビジネス市場の開拓、周辺接続機器(プリンタ、ウェアラブルディスプレイ等)の対応等、早急な対策、対応が必要であろう。

iPad発表時、アップルのジョブズCEOは、「アマゾンは開拓者としての偉大な役割を果たした。我々はその先を行く」、と述べたが軽く聞き流してしまった人も多いと思われる。今にして思えば、重く受け止めて対応すべきということであろう。アップルは今や、マイクロソフトの総資産(時価総額)を上回っており、文字通り、豊富な資金力を持って突き進んでいる。

日本を代表する企業のひとつ、ソニーは、いわば、アマゾン(キンドル…)に対する雪辱、アップル(iPod…)に対する雪辱を一気にはらすべく準備しているようだが、コンテンツパートナー、通信プラットフォーム対応等、課題は少なくない。

グーグルの出方などに注意するものの、自社の持てるパワー、資源を再度見つめなおし、どのような市場戦略を構築すべきか、早急な対応が必要だろう。

この勢いは、株式、金融市場の喩えを借りれば、短期トレンドではなく、まさに長期トレンドの走りのようだ。かつて、弊社は電子ペーパーの調査報告書で予想外のヒット、各方面より高い評価をいただいたが、思い返すと、まさに、当時のテーマともつながっており、時代の大潮流のマーケットに相対していたといえる。現在の電子書籍の位置づけは、500年ほど前のグーテンベルクが活版印刷を発明したときの頃(羊皮紙への手書き写本から、活版印刷による大量生産販売の時代へ)の価値観の変化と同様、大きな変化とみられている。この点に留意した大胆な取組が求められる。

ただ、加えていうならば、取組といっても、アップル、アマゾン、ソニーなどと同じようなことをする、というより、アプローチを変えて、次に起こる潮流を見定めて準備することも必要だろう。たとえば、AR(拡張現実)との融合、ウェアラブルディスプレイの接続、対応コンテンツの整備、といった視点である。時代はユビキタス社会、アンビエント社会の方向に向かっており、個の活性化が組織の活性化につながる、そうした発想でビジネスアイデアを結晶化させてもらいたいと思う。

(AQUよりクライアント各位へのメールより、2010.6)





                     【 ユビキタスから、アンビエント構想へ】

▼ユビキタスから、アンビエント構想へ。人の創造活動を支援するアンビエント社会

 ユビキタス時代、ユビキタスネットワークといった、ユビキタスという言葉、すなわち、 「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」が、コンピュータでつなかる、というユビキタスコンピューティングは、現代の情報化社会を支える概念として知られてきている。2004年には政府がユビキタスを冠としたu-japan構想を発表、2010年に世界最先端のユビキタスネットワーク社会の実現、という構想を掲げた。

 しかし、進化し続けるテクノロジーの発展を背景に、官民ともに、次の情報社会「ユビキタス情報社会のさらに進化した段階」の構想を打ち出す時期に来たといえよう。それは、「アンビエント社会」である。"アンビエント"とは、周囲を取巻く、環境の、などを意味する英単語「ambient」から来ている。その意味から、「環境音楽」の意味に用いることもある。そして人間の周囲、環境のあらゆる場所にコンピュータやIT機器が存在し、意識せずにそれらの機器を使える社会を「アンビエント社会」と呼ぶ。

 この用語は、1998年、米Palo Alto VenturesのEli Zelkha と Brian Epsteinが「2010年〜2020年ごろの社会」を想定して作成したプレゼンテーション中で使われたのが最初といわれ、コンシューマエレクトロニクス、テレコミュニケーション、コンピューティング分野での将来像を「アンビエント社会」と呼び、アンビエント社会を支え、人の存在に敏感に感応するコンピュータを「アンビエントインテリジェンス」(Ambient Intelligence、AmI)と呼んだ。人間主体のユビキタス社会を、ますます広げるためにも、「アンビエント」にふさわしいセンサー、ICチップ、通信、コンテンツ、各種サポート機能等のICT  (Information and Communication Technology)関連の開発、構想づくりがのぞまれる。人間からコンピュータにアクセスするだけでなく、コンピュータからも人間をタイムリーにサポートできる、高度なアンビエント社会の実現が期待される。

(調査研究者のノートより、2010.5)





                   【 ある財界トップリーダーの話、「研究開発こそ!」】

 
 先日、霞ヶ関にて、ある財界トップリーダーの講演を聞く機会があった。この人は、上場企業の社長から、会長に就任、現在、金融に詳しい、経済界のトップリーダーの一人として活躍している。揺れ動く政治状況にあって、経済界の実状を、将来を担う若手政治家たちに伝えているという。

 現在の世界的な経済変動は、ギリシャ危機、ユーロの急落に起因しているといわれる。つきつめてゆくと、これは、国家の信用度合いを示す「ソブリンリスク」への懸念であり、巨額の財政赤字を抱えるポルトガル、イタリア、スペイン、そして、ギリシャの、いわゆる「PIGS」と呼ばれる南欧4カ国の国債の暴落(金利は急騰)が主因といわれている。

 サブプライムローン問題、リーマンショック以降の経済対策の副作用、調整という見方もあるが、正常化への道は容易ではない。ひるがえって、日本の国家経済を考えると、ギリシャ危機、ユーロ急落を対岸の火事ではなく、まさに他山の石として、とらえねばならない。現在の国家予算は、2010年度予算、一般会計総額は92兆2992億円(過去最大)。 歳入は税収が37兆3960億円(18.9%の大幅減)、新規国債の発行額は44兆3030億円(過去最大)。借金が税収より多い、という状況である。

 おりから、国際通貨基金(IMF)が、日本経済に関する年次報告書を発表。日本政府に対し、2011年度に景気回復に合わせて財政再建を開始し、消費税を徐々に引き上げる必要があると提言している。

 たまたま、上記の財界人は、年1%ずつアップ、という見方を紹介していた。また、講演後に言葉を交わすチャンスがあったが、日本の生きる道として、研究開発の大切さをあらためて語っていたのが印象的だった。
(調査研究者のコラムより、2010.5)






                          【 新年度に対する期待と心構え】

 多くの企業が4月1日より、新しい年度がスタートします。新入社員を迎え、心新たに研究開発、企画推進をしようとしていられることと思います。新しい年度は、気持ちの上でもリーマンショック以降の極度に変調をきたした市場環境の調整に決別して、本来のビジネス軌道、未来市場創造の道をより強く切り拓いてまいりたいものです。

さて、本日発表された日銀短観では、大企業製造業の景況感が4期連続で改善。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でマイナス14となり、4四半期連続で改善したとのことです(昨年12月の前回調査はマイナス25)。10年度の売上高計画は、大企業全産業で前年度比2.8%増。製造業は3.9%増、非製造業は2.1%増となっています。

企業の収益計画では、10年度の大企業全産業の経常利益が前年度比21.1%の増加。昨年3月時点は09年度の計画が11.0%減だったので、大きくプラスに転じています。製造業は49.3%増、非製造業は7.1%増となっています。

最近のIT関連の話題としては、AppleのiPad、GoogleのAndroidなどがありますが、ここにきて、Googleは、3月22日、中国本土の検索サービスで、自己検閲を停止しました。香港版Googleで無検閲のサービス提供。結局のところ、中国向け検索サービスからの撤退といえるかと思います。同社にとっては、中国が大市場であることもあり、手痛いものがあるとみられます。

いっぽう、楽天は、中国のネット検索最大手、百度(バイドゥ)と提携しており、今年後半から中国でのネット通販事業を展開する見通しです。今後の中国市場をにらんで、IT関連でも企業間の競争が激化しつつあるといえます。通販市場に関していえば、中国における、2009年の取引総額は前年比約2倍の2600億元(約3兆5560億円)に上った見られます。12年には日本市場のネット通販市場の規模(09年度、約6兆6千億円)を超えて、約9兆7600億円規模に達すると予想されています。

ソフトバンクが出資する中国ネット企業、アリババなどがありますが、システム的には相手国の言語が自動翻訳できるようになっていて使いやすく、またオンライン決済なども進んでいます。

ところで、クライアント関係の話題としては、クラウド端末、スレート端末、SaaS、3D関連などがありますが、市場がグローバルになってゆく中で、中国、インドをはじめ、世界戦略がより重要となってゆくと考えられます。最近放送された「メディアの激震」(NHK)では、旧メディア(テレビ、新聞等)と新メディア(ネットメディア)の力関係があらためて認識された感じがしました。今後もこうしたネット、ITの新潮流をみすえて、ビジネスに積極的に生かしてゆくことが、求められているといえます。とくに若者を中心にTwitterと動画放送が人気化しており、ソーシャルメディア、ソーシャルテレビ、といったネットコミュニケーションの時代に入ってゆく可能性を感じています。これらは、3Dコンテンツ、3Dシステム機器などともつながる可能性を秘めています。着眼点を変えると、現状の研究開発に生かせる部分が多いのではないでしょうか?

心新たに、先端ビジネスの研究に関わってまいりたいと考えています。
(クライアントへのメールより、2010.4)






                 【 オリンピックで勝てる脳のメカニズムを考える】

 バンクーバー冬季オリンピックも残りわずかとなっている。雪山からの滑降から始まるオープニング映像は、やはり、感動的であった。また現地のインディアン部族の迎え入れる儀式、踊りを見ていて、アメリカ大陸の壮大な歴史を感じた次第である。

日本は当初予想したよりもメダルは少なかったようだが、今年はスポンサー支援を得るのが大変だった選手もいるようで、選手の皆さんの奮闘をたたえたい。

個人的にはフィギュアスケートに注目している。NHKで特集があったが、浅田真央選手とタラソワコーチとのやりとりに学ぶものがある。

さて、スポーツでもビジネスでも勝負に勝つためには、マインド、心を養成することが大切である。そして突き詰めてゆくと、脳のメカニズムを利用するテクニックが大切と感じている。

有用なケーススタディとして、2008年北京オリンピックの水泳、北島選手について考えてみたい。

北島選手のゴール到着後のガッツポーズは、なんとも勇ましく、とても感動的だった。今思い出してみても、あのシーンがよみがえってきて元気を与えてくれるような気がする。

実は、あの金メダル獲得に大切な力を発揮したと思われるのが、脳科学理論の応用である。

北島選手の北京オリンピック金メダルへ向かう道は、決してたやすいものではなかった。ゴールタイム(新記録)、ライバル、コンディション、それらがすべてうまく合わなければ達成できなかった。

当時、日本選手はゴール前が弱いのだ、と平井コーチが言ったことに対し、林教授(日本大学総合科学研究科)は、脳の機能は「ゴール間近だ」と思った瞬間に低下し、それにともなって、運動機能も低下してしまうのだという。(脳の自己報酬神経群といわれる部位)

いわゆるモチベーションが大事ということなのだが、教授は「目標よりも遠くにゴールを定めるとよい」と話したという。これに対して、コーチと北島選手は「プールの壁をゴールと考えずに、壁にタッチした後、振り向いて電光掲示板を見た瞬間をゴールと考える」という訓練をしたという。結果、アドバイスから一ヵ月後に北島選手は世界記録を塗り替えたという。

いっぽう、ライバル(ハンセン選手)についてどのように考えたかというと、「敵に勝とう」と思うと脳は、その瞬間、能力にブレーキがかかってしまうという。

同教授は、「ハンセンをライバルだと思っちゃいけない。自分を高めるためのツールだと思いなさい。そして、最後の10メートルをKゾーン(北島ゾーン)と名づけて、水と仲間になり、ぶっちぎりの、感動的な泳ぎを見せる舞台だと思いなさい」と言ったのだ。

実際的には、さまざまな応援もあり、また本人の考え方もあり、勝因はいくつもあると考えられるが、私は、このことが大きなウェイトを占めていると感じている。

実は、大分昔のことだが、私はある訓練を受けることになり、2000メートルを泳がねばならなくなってしまった。当時、25メートル程度は自信があったが、それ以上は至難の業だった。たまたま、ある友人のMさん(当時、治療の世界でよく知られていた先生)が、「水と戦うような気持ちではなく、水と友達になる気持ちになると泳げるよ」と、アドバイスしてくれた。その結果、力まずに、私は、2000メートルを泳げてしまったのだ。ほんの少しの発想転換が能力発揮につながるということを学んだのである。

かつて、陸上100メートルで世界一のカール・ルイスは、オリンピック本番に向けて緊張していたのだが、お母さんから、「楽しんでいらっしゃい」(確か、Feel at home! )といわれて、それがもとで、快走して金メダルをとれた、と述懐していた。

バンクーバー・オリンピックは、いよいよフィギュアスケート女子の競技がはじまる。私は浅田真央選手が「ワクワクしている」という言葉を新聞で読んで、これなら行けるかもしれない、と感じた。

一方、ライバルのキム・ヨナ選手はお父さんによれば、「韓国国内では、金メダルが取れて当然という」ことで、とてもプレッシャーがあるといっていた。

氷上の世界、見ているすべての応援の人たちと友達になる、という感覚が持てれば、そして、勝利の女神が微笑めば、かろやかに、金メダルがとれることだろう。。 http://www.joc.or.jp/vancouver/


               【 世界への貢献につながる、BOPビジネスの可能性】

 企業の200年、300年大計、といったスケールの大きな話を松下幸之助、孫さんなどがよく言及していたが、日常の忙しさに流されていると、こうした大局的視点が見えなくなってしまいがちである。

日本経済、世界経済の今後のあるべき方向性を考えるとき、大胆な発想、大きな視点で現状をとらえることが大切である。

現在、世界の人口の72%に相当する約40億人は、年間所得3,000ドル以下の収入で生活している。これらはBOP(Base of the Economic
 Pyramid)層と位置づけられている。

BOPビジネスといわれるようになってきているが、「BOPな人々」を巻き込んで、BOP層のニーズを満たす製品・サービスを開発・提供し、BOP層の生活向上に寄与する、という意味がある。BOP層の市場規模は、5兆ドルに上るとされている。

BOPのさきがけはバングラディッシュのグラミン銀行と考えられるが、チッタゴン大学のムハマド・ユヌスさんはグラミン銀行と共にノーベル平和賞を受賞している。

一般的に、貧困層を助けるために、慈善事業という考え方があるが、BOPビジネスは、あくまでも企業の本業として収益の確保を目的として行われるものである。大手企業の中にはボランティア休暇、ボランティア制度などにより、社会への貢献を目指している企業は少なくないが、BOP層の直面する社会課題を解決しつつ、本業の利益にもなりうるビジネス、という考え方は非常に分りやすい !

すでに、バングラディシュなどの発展途上国に人材を送り込む研修がNPOによって展開されており、NTTコミュニケーションズ、リコー、三菱商事などが社員を派遣しているという。

BOPビジネスの例としては、ヤクルト(健康)、公文(教育)、ユニリーバ(インドで小分けした洗剤などを販売)、ダノン(バングラデシュで低価格ヨーグルトを販売)、住友化学(タンザニアでマラリア予防用の蚊帳を生産、販売)などがある。

筆者はかつてヒマラヤの小国、ネパールへ行ったことがあるが、当時、日本ネパール協会には、KJ法で知られる川喜田二郎氏をはじめ、伊藤忠商事の関係者、ヒマラヤ登山関係の人(橋本元首相も)がいたが、ビジネス的にもつながりがあったように思う。当時のネパールで感じたことは、若者の日本語熱が盛んで、日本へ行ってみたい、日本からいろいろなことを学びたい、といった姿勢があり、インドという大市場も近くにあるため、ヒマラヤ観光だけでなく、ビジネス的にも可能性があると感じていた。

現在は、BRICsといわれる 経済発展が著しいブラジル (Brazil)、ロシア (Russia)、インド (India)、中国 (China) 等の経済発展に目が行きやすいが、グローバルに見ると、これらの国だけでなく、いわゆる発展途上国でのビジネスの芽は確かにあり、これからの日本企業の戦略としては、こうしたグローバルな視点で、長期的な戦略を練ってゆくことが大切になってくると考えられる。


                           【 ブランド端末の可能性!】

 今年はiPadを含めて、スレート端末(タブレット型)が大きく動くとみられる。アップル以外では、Android搭載のネット端末を製品化する動きが活発化しつつある。

昨年発刊した新プラットフォームの資料は、コンピュータ系の大手某社なども最近購入しており、今後の戦略展開が注目される。

この会社のプロバイダーサービス関連企業では、液晶パネルを使用。7インチ型を想定している。

電子書籍をねらっているというよりも、プロバイダーサービスのユーザー専用端末として、各種の利用を考えている。

アプリストアも準備しており、端末、サービス、ソフトを総合的にとらえてビジネスしてゆこうとしている(ライフログアプリを含む)。 このあたりは、ソニーの電子書籍端末ビジネスを意識しているとみられる。

このほか、NTTもAndroid搭載端末を計画しているが、Wi−Fiネットワークを活用、待ちうけ情報配信サービス+端末の形で、各種情報サービス(写真、動画等も含む)があるのが特徴で、スマートなデザインであり、女性にも好感されている。

1990年代半ばはMacの台頭が著しかったが、その後、windowsがでて、Macのシェアは奪われてきた。それと同じように、現在、iPhone、iPadの人気が高いが、市場のパイが大きくなる中で、Android搭載端末が大きく伸びてゆく形なのだろう、と思われる。

スレート端末(タブレット型)は、企業のブランド端末として、広がろうとしている。このあたり、ビジネスユース利用も多様に広がってゆく可能性がある。。

筆者はかつて、読売新聞本社、朝日新聞本社、雑誌社などのデジタル化で取材に行ったことがあり、デジタル化を実感しているが、現在、新聞、雑誌は大きな構造転換を迫られており、欧米の動向も合わせて考えると、ネットワーク、システム化、端末等、さまざまなビジネスチャンスがあるといえる。
(調査研究者のコラムより、2010.2)





                【 2010年代のスタートの年として、大事な一年!】

 近年、中国の力が増してきており、かつては、開発途上国という位置づけにあった中国が、今や日本を追い抜くほどの経済力を持ってきた。2009年は、弊社にもいきなり、北京より国際電話があり、提携したい、という連絡が来たことがある。中国はもはや、大事な世界経済の一翼を担っている、という実感を新たにしている。

2010年の十干(じっかん)は「庚(かのえ、こう)」で、干支(かんし。十干と十二支を組み合わせたもの)は「庚寅(かのえとら・こういん)」ということだそうである。「庚」は「更(あらたまる)」につながり、成長に行き詰った草木が新たな形に変化しようとする様を表している、という。

ここ数年、世界的な経済大変動に揺れたが、新しい年は、激変が静まり、さまざまな分野で、ビジネスの新たな成長を感じさせる年になって欲しいものである。2010年の世界的なイベントとしては、2月のバンクーバー冬季オリンピック(http://www.joc.or.jp/vancouver/)、5月からの上海国際博覧会(http://jp.expo2010.cn/)、6月のサッカーワールドカップ南アフリカ大会(http://members.jcom.home.ne.jp/wcup/)などがある。

なお、2010年という年は、数字的にも、2010年代(2010年から2019年までの10年間)のスタートの年として、大事な一年となる。2010年代という、新たな時の流れのスタートに当たり、皆様のご健勝を祈念申し上げる次第です。


         失敗すればするほど、成功に近づいている! (失敗と成功の関係性)

 先端ビジネスの世界で注目されているものとして、アップルのiPhoneがある。iPodで培ったノウハウも生かされており、iPhoneはハード的な特長だけでなく、ソフトを含めたビジネスモデルとして成功しているといえる。

しかしながら、アップル社の中長期のスパンで考えたときには、失敗の烙印を押されたものもある。携帯端末のニュートンである。最近では、ソニーの電子書籍端末「Reader」が欧米で好調であり、コンテンツ戦略的にも、うまく行っており、ビジネスモデルとして優等生と、社内で評価されている。しかしながら、ソニーの場合も、かつては、国内では松下電器産業(新社名、パナソニック)とともに、電子書籍端末「LIBRIe」で苦戦を強いられ、事業撤退という、つらい経験がある。

私はかつて、某大手家電メーカーの仕事で、携帯情報端末の調査を行ったことがある。その調査というのは、それまでの成功、失敗の事例を詳細に分析することで、未来戦略を練る、という意味があった。先述のアップルのニュートンは、失敗事例の中に入れた記憶がある。ニュートンはまさに当時としては先端商品であったのだが、高価すぎたこと、また大きすぎたこと、手書き認識率の低さなどにより、売れなかった。まさに、失敗の烙印を押されてしまっていたのである。しかしながら、アップル社にとっても、ソニーの「Reader」と同様、かつての失敗が成功に変容したという意味では(ゆるやかな関連性を含む)、ビジネスの失敗は固定的に考えてはならない、といえるだろう。ビジネスの成功を考えると、かつての失敗が生きたからこそ、成功につながる、と言えるのではないだろうか? 

個人で言えば、失敗がたくさんあっても、だからといって、人生に失敗したわけではない。むしろ、失敗がたくさんあるからこそ、成功確率が高まる、といえる。エジソン(「失敗すればするほど、我々は成功に近づいている。」という)にしても、リンカーン(「何より、出来ると思え、続いて、手段が付いてくる。」という)にしても、「失敗」が多かったという。要は、考えることを辞めず、どのような環境におかれようとも、たとえ、周囲から失敗の烙印を押されようとも、自分だけは、自己に内在する力を信じ、未来へ前進してゆくことが大切なのだと思う。

1990年代の日本経済のバブル崩壊以降、日本経済はさまざまな試練を受け、企業を取り巻くビジネス環境はめまぐるしく変化し、安定成長を達成している企業はごくわずかで、むしろ、激変するビジネス環境に翻弄されている企業の方が多いかもしれない。とりわけ、ここ2、3年間に限っても、サブプライムローン、リーマンショック、原油高騰、円高など、多くのサプライズがあった。 まさに激動の数年間だった。


(調査研究者のノートより、2010.1)





                 【ふたご座流星群と統計学、自然界の現象のリズム】

 12月14日、たまたま夜道を歩いていると、非常に大きな流れ星を見ました。私は高校時代、流星の天体同時観測を組織的にするなど、友人とともに、ローカル県の高校天文連盟を創設したり活躍したことがありましたが、その頃見た最光級のものに匹敵する、きわめて最光級(青白い光)のものでした。ひさしぶりの感動でした。調べてみると、三大流星群のひとつに数えられている、ふたご座流星群、今年の活動のピークは12月14日と予想されている。・・・ということでしたので、私はそのピークの日に偶然(必然?)、流星を見た、ということになります。この意味でも、統計学や、自然界の現象のリズムには、感嘆するものがありますね。
http://www.astroarts.co.jp/alacarte/2009/200912/1214/index-j.shtml (ふたご座流星群について)


                               祝賀式典に参加して

 さて、もうひとつ話題です。私は、11月12日、皇居に行っていました。昔、大手町や赤坂の皇居に面したビルで仕事をしていたこともあり、皇居はなつかしい場所です。この日は、天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典で、第二部祝賀式典は皇居前広場に2万7000名のイス席が用意され、私はこの中にいました。当初、式典内容そのものは、あまり期待していなかったのですが、各界で活躍している人たちが一同に集まっていることが分り、その同じ時空間にいるという充実感のようなものを感じました。日本の人口に比べると、0.025%くらいですが、世界的にも活躍している人たちが(壇上に)集まっている、、、、その近くにいる、という親近感を感じました。政界、経済界、芸能界、スポーツ界、野球界、学界などより著名人の挨拶がありました。http://www.houshuku.org/houshuku/saiten.html 若い人たちに人気のEXILEも、奉祝曲を歌うなど、雰囲気がよかったです。私が印象に残ったのは、荒川静香(トリノ五輪金メダリスト)、高橋尚子(シドニー五輪金メダリスト)などの挨拶でした。また、大型ビジョンの複数設置や、システマティックな運営システム、警察官の情報ネットワークなどにも感心しました。とても寒かったですが、皇居から見るオフィス街の夜景がきれいでした。天皇制や皇室については、いろいろな考え方がありますが、いろいろな考え方があってよいと思います。何はともあれ、オリンピックなどでは日本を応援してしまいます。また、国内が秩序あってこそ、経済活動、ビジネスができるのだ、ということも感じました。
(調査研究者のノートより、2009.12)




              【AR、拡張現実関連、年商300億を目指すベンチャー】

 しばらく前のことですが、AR関連、年商300億を目指すベンチャー企業社長と都内にて長時間話しておりました。ビジネス全般、いろいろ接点が多く、ひさしぶりに夢を語る未来を目指す青年に会えてうれしく思いました。実現する可能性は、仮に1%としても、、その心意気に関心しました! とてつもない夢にチャレンジする姿勢は、それだけでも感動するものがあります。

 私は長年、調査研究の仕事をしておりますが、ユビキタスをはじめ、過去には、バーチャルリアリティ、複合現実感といったテーマを手がけてきました。あるとき横浜でキヤノンの会場と思いましたが、特殊メガネをかけて、他の人たちとゲームを楽しんだりしたことがあり、また数年前、ある研究所で、開発中の空間に浮かぶ妖精を見せてもらいました。その妖精は、私の語りかけに応じて身振り手振り、音声で答えてくれるもので、私はこのとき、こうした技術が花開けば、今後のユビキタスの世界は、希望により、家の中、街々に、ディズニーランドのような楽しさが、いたるところにできておもしろいだろうな、と感じました。


               ケータイアプリビジネスへの参入チャンスか?

iPhoneアプリの世界は、今、たいへん盛り上がっています。私のいるビルの同じフロアーのAさんは、最先端の測定機器関係で、地道な商売をしていますが、iPhoneの面白さを昨年の懇親会から話しておりました。先日もお会いすると、アップストアーにのせるべく、ソフトの開発に注力しているとのことでした。

さて、今や、iPhoneアプリだけでなく、Androidなどでも、個人、ベンチャーのチャンスが出てきているようです。

従来、実質的に数百万から数千万円の参入費用(ドコモの「iモード」の場合)がかかり、参入するには、比較的大きな投資が必要でした。しかし、マッキントッシュパソコンを新しく買って、手続き費用などを足し合わせても、十数万円から参入することが可能です。

「iPhone」および同じOSで動く「iPod Touch」を含む市場は、世界70カ国以上・4000万人ものユーザーがひしめいているわけで、これにAndroidなどが加わったわけです。

すなわち、携帯電話OS「アンドロイド」向けの 「アンドロイドマーケット」(グーグル)、携帯電話OS「ウィンドウズモバイル」向けの「ウィンドウズマーケットプレイス・フォー・モバイル」(マイクロソフト)、さらに、携帯電話向けの 「オビ・ストア」(ノキア)というわけです。WIN-WINの発想で、ビジネスチャンスを多くの企業、個人に与える、というビジネスモデル、また、こうしたプラットフォームが注目されてきています。

これらは、ARビジネスにおいても、大きな可能性を秘めている分野であり、今後の動向を注目したいところです。 (調査研究者のノートより、2009.7)






             【未来への視点と調査研究者の気づき】  - 2009年初頭に感じたこと -


◆ビルゲイツが選んだ次の人生

私にとって、ビルゲイツは他人ではない。何年か前、私は新幹線に乗ったとき、そこに西和彦氏がいて、氏の講演「未来予測」を聞いたことがあっただけに、ビルゲイツの日本の友人としての氏の感性を通して、縁を感じていたからである。また、かつて名古屋の会社がつくったハローキティのロボットをビルゲイツが二台買い、一台は研究用に、一台は娘さんのために買っていったということをその会社の幹部から聞いていたからである。ビルゲイツは昨年、マイクロソフトの経営の第一線から離れ、奥さんらとともに、世界の子供達を救う慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」の運営に注力するようになった。コンピュータの研究、経営で天才的手腕を発揮した彼が次に選んだ人生は、慈善事業ということだが、そのグローバルな発想、地球的価値観はいろいろ学ぶ点が多い。昨年11月、自家用ジェットで日本にやってきたという彼の講演を都内で聞いたが、子供を愛し、世界に貢献するグローバルな行動力に深い感銘を受けた。なお、ビルゲイツとともに、世界資産家のトップを走る、投資家のウォーレン・バフェットは374億ドルの資産のうち、85%にあたる310億ドルを同財団に寄付している。

◆ドッグイヤーからマウスイヤーへ、そして・・・

ドッグイヤーからマウスイヤーへ。田坂広志氏は米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員を経て、シンクタンクの日本総研を立ち上げるなど、複雑系に関する著書、論述で知られる。たまたま、12月に渋谷で氏の講演を聞く機会があり、私は、運良く会場の中央で、聞かせていただいたが、氏はガイアシンフォニーの監督など、広く先端知識人との交流があり、その経験、見識は参考となる点が多い。とくに私の記憶に残ったことは、マウスイヤーである。マウスイヤーとは、インターネット登場以降の時代感覚のスピードが、さらに速まっており、ドッグの代わりに、マウスをフレーズに当てたものだ。犬は人間の7倍の速度で成長するといわれ、ネズミは人間の18倍の速度で成長するといわれている。ドッグイヤーという言葉に比べ、マウスイヤーという言葉はあまり聞かれないが、この言葉を聴いて、時代の変化スピードに乗り遅れず、かつまた、時間を超越した感覚を磨いてゆきたい、と感じたしだいである。


◆地方や地元の活性化からビジネスを広げてゆくという発想

正月早々、あるクライアントの関係で北陸に行くこととなり、東名阪とは違った趣のある地方都市に行ってきた。北陸には何度か来ていたものの、あらためて、のどかな雰囲気を感じた。仕事で金沢に移り住んだ友人によれば、金沢は戦争の直接的被害がなく、古くからの街並みが残されていて、また住んでいる人も、のどかな暖かい雰囲気があるという。かつて会社員から改めて北陸先端大学院大学 に転じた友人とは、一緒に仕事を多くこなしてきたが、彼は日本海でのロシア船重油事故などでボランティア活動などをした経験もあり、地元に密着したNPOの研究などをしていた。彼からは日本海のカニをいただいたことがある。地方重視が叫ばれる今日、地方や地元の活性化からビジネスを広げてゆくという発想も大切である。


◆抽象論ではない成功哲学に学ぶ

カリスマ体育教師・原田隆史氏のことは、成功哲学研究のグループで、以前より知っていた。というのは、かつてパナソニックや、ソニーなどに直接システムを売り込んでいた人からスポーツ選手のイメトレなどのノウハウについて伺ったことがあり、そのときに、原田氏の講演テープを聞いたことがあったからである(→ 感動)。氏は荒れていた松虫中学に乗り込み、7年間で13回の中学陸上日本一を実現し、その指導理論の一部を多くのトップアスリートも活用しているという。氏の成功哲学の話は、抽象論ではない。実績があるから、なぜか、納得させられてしまうのだ。。。(^^;)  ビジネス経営にも参考になりそうだ。最近日経BP社から、DVD書籍が刊行された。ビジネス最前線で活躍している方は、ぜひ、一読をお薦めしたい。。。http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/180300.html


◆香りの意外な活用法、それは ! なんと、イチロー選手も?

弊社でかつて刊行した香り通信の資料はおかげさまで、好評を博しているが、五感のうち、今後大きな可能性を秘めたビジネスとも考えられる、香りビジネスに関連して、面白いことを聞いた。有名なサッカー選手の中には、ペナルティキックのときなど、実は、試合前に染み込ませておいた香り(グレープフルーツ?)を、汗を拭いているように見せかけて、カイデイル。・・・つまり、香りを、うまく生かしているとのことである。ナイスプレー、ナイスシュート、観客の歓声をイメージしながら試合に臨んでいるというのだ。香りは瞬間のイメージをつくり上げるのに役立っているとのことである。(話によれば、イチロー選手も香りを活用しているとのことである。企業秘密? ) かつて、「時をかける少女」という映画があったが、ラベンダーの匂いを香ぐことで、タイムスリップするという話だが、嗅覚のある部分は脳の古い部分であり、論理ではなく、野性的本能につながっている。男性に比べ女性が香りに敏感といわれるが、香り、嗅覚の研究は人間の脳の仕組みの奥深さだけでなく、今後、商品企画においても、より深く関係してゆくと考えられる。(先の資料は、某大学院生の論文にも引用された) また、健康づくりの複合施設では、入場者も増えており、女性客に人気のある、香り、美容、健康食等のメニューが充実していることを先日、体感してきた。このような健康関連ビジネスも注目されるところである。


◆世界経済の動向と、今後のスタンス

一昨年半ば頃より、にわかに話題となってきたサブプライム問題は、今や、「100年に一度の金融危機」という言葉がでるほど、世界経済に深刻な問題を投げかけている。2008年7月に、1バーレル、140ドル台にあった原油が12月には、30ドル台になるなど、めまぐるしいものがあった。株価、為替、商品相場といった経済指標が急激な変動を見せており、トヨタ、ホンダ、ソニーなどの国際優良企業といわれた大企業が大幅な黒字から大幅な赤字になってしまったところも少なくない。有名企業においても人員削減、内定取り消しといったニュースが流れているが、世界的景気の動向とリンクしている部分があり、今後の経営を考えるには、よりグローバルな動きの予兆を感じ取る感性が大切だろう。その意味で、米国オバマ新大統領の経済政策には注意しておきたい。新大統領は、「Yes, we can.」の格式高いスピーチが話題となったりしている。現在のところ、環境ビジネス、代替エネルギー関連等が大きく動いてゆきそうである。具体的には、「次世代のクリーンエネルギー対応技術の開発を進めて、500万人の雇用を創出する」、「2020年までに温暖化ガス排出量を1990年レベルに抑制し、2050年までに80%削減するキャップ・アンド・トレード制度を導入する」などの方針が打ち出されている。ただ確かに、今後のオバマ新大統領の政策は気になるものの、いっぽう、研究開発、商品企画、事業推進等の立場としては、自社の取り巻く市場環境を分析、すぐれた技術をベースに、着実なビジネス成長が遂げられるよう、まい進してゆきたいところである。


※弊社(AQUARIUS)は今後も先端テクノロジー、先端ビジネスに注目、市場の動向、ビジネスモデル、需要動向等の調査研究を通じて、クライアント企業、皆様のご期待に応えてまいる所存です。本年もよろしくお願い申し上げます。   ディレクター 子安 克昌



(2009.1 Marketing Team )



                  【ロボットメディアビジネスの展望と戦略】

●ロボットへの関心は、昨年の愛知万博を契機として大きく盛り上がったものの、実際のビジネスでは想定したほど実績をあげていないケースが多い。大局的にみれば、ロボットの未来は明るく、人間とロボットの融合は多方面で加速してゆくものと考えられ、通信との融合としてのネットワークロボット、また、脳科学との融合、ブレイン・マシン・インターフェース、ブレイン・ネットワーク・インタフェースなどの高度な発展により、ロボットは生活、ビジネスの場で、なくてはならない存在となってゆくであろう。
●家庭用ロボットについていえば、自律型に重きを置いてさまざまな機能をつけようとした結果、ワカマルのように比較的高額なものが登場している。それに対し、モーション(立体的動き)のあるロボットを一種のメディアとして考え、できることはサーバー側で処理させるという発想で見た場合、さまざまなコンテンツが、比較的容易に、インターネットを通じて配信できるとともに、広告も可能となり、結果としてハードの価格も抑えられ、一気に普及してゆくことが考えられる。将来的には、ロボットが声優やタレントの声を話すことにもなってゆく、と見る向きもある。
●ところで、中高生などに人気のある吹奏楽で考えてみると、最近では、演奏しながら行進し、さまざまな形を表現しながら演奏する、マーチングバンドの人気も高い。このように従来の表現法に加えて、よりアクティブな動きのスタイルが、さまざまな分野で広がっており、ロボットの世界でも例外ではなく、インターネット対応、共通のロボット端末とみることで、コンテンツの幅が広がり、マーケットは一気に拡大してゆく可能性があるといえる。
●当調査は、モーション(立体的動き)のあるロボットを、ラジオ、テレビ、PC、ケータイに次ぐ、第5のメディアとしてとらえることで、ロボットコンテンツビジネスの可能性をさぐり、またSNSのように、ロボットコミュニティの創造を通じて、各種のビジネスチャンスが可能とみられる、ロボット市場の新潮流をとらえる。

http://www.aqu.com/robot-media-business/







              【香り通信、ゆらぎ通信の可能性とビジネス戦略】

● かつて郵政省(総務省)が、人と人とのより自然で現実感のあるコミュニケーションとして、五感情報通信技術を取り上げたことがある。これは、これまで視覚や聴覚のみに限定されてきた人間とコンピュータとのインタフェースチャネルを、視覚、聴覚に加えて嗅覚、触覚、味覚に広げてゆこうとしたものである。現在、コンテンツビジネスといえば、視覚、聴覚が主体であるが、今後、嗅覚などの他感覚も連携してくる可能性が高い。
● 生理学的に考えた場合、人間の遺伝子の数は、21,787個(2004年10月21日、国際研究チームが発表)とされているが、視覚についての遺伝子が3個、味覚についての遺伝子が5個であるのに対し、嗅覚については、500から700個(全体の約3%程度)といわれている。一概に関連性には言及できないものの、何か、人間を相手にしたビジネス、マーケティングにおいて、今後、嗅覚(香り)は感性重視のトレンドにある中で、きわめて重要なファクターとなってくることが予想される。
● ちなみに、2001年8月に、ベンチャー企業のピクセンが発売した携帯電話のストラップ、着信時に香りがでるという「携帯くんくん」は、一年で30万個、2億円を売り上げた。発する香りは一種類だけという極めてシンプルなものだが、このようなヒットの背景にあるものとして、やはり香りの持つ潜在的ビジネスパワーは大きなものがあるといえる。香りには、心理作用、生体リズムの調節作用等があり、くつろぎの香り、眠りを誘う香り、さわやかな目覚めを誘う香り、アクティブな香り、、といった種類があるが、野球のイチロー選手も体験して「おもしろい」と感想を述べているなど、話題性には事欠かない。
● 現在、帝国ホテルの客室や松竹の映画、あるいはe-Learning、オフィス、店舗等で採用が進みつつあるが、今後の市場展望を考えるとき、ユビキタス時代における臨場感通信等を含めたユニバーサル・コミュニケーション市場は、2020年の時点で最大50兆円が見込まれている。ブロードバンド時代におけるコンテンツビジネスとして五感重視の傾向が増していく中、プラスアルファの香り通信はキラーコンテンツとして浮上していく可能性が高い。

http://www.aqu.com/kaori-com-business/








        【ユニバーサル・コミュニケーション、2020年の時点で最大50兆円】


「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」簡単にネットワークにつながる「ユビキタス」経済の促進が、日本の経済成長力向上の起爆剤となる、と考えられている。そのユビキタス市場において、今後の10年、20年というスパンでとらえたとき、注目されるのが、「ユニバーサル・コミュニケーション」である。

「ユニバーサル・コミュニケーション」ということばは、世界中の人々がコミュニケーションするときにおいて、言語、文化、価値観、知識、経験、身体的能力の違いなどを超越して、バリアのないコミュニケーションの新形態を目指すというところからきている。

ユビキタスネット社会は、ICT( Information and CommunicationsTechnology:情報通信技術)の
利活用により「元気・安心・感動・便利」な社会の実現を謳った「e-Japan 戦略2」(平成15 年7 月に策定)で設定された目標像であったが、いわば、日本のIT戦略は、2001年からのブロードバンドを基盤とした「e-Japan」という構想で進んできたが、2006年以降はユビキタスネットを基盤とした「u-Japan」のステージに入っているということになる。(総務省による)

 ちなみに、u-Japanとは、Ubiquitous(ユビキタス)、Universal(ユニバーサル)、User-Oriented(ユーザー)、Unique(ユニーク)といった言葉から連想されるICT(情報通信技術)社会の理念を指している。u-Japanは、社会生活やビジネスにおいて、ユビキタスネットによってあらゆる人や物の結びつき、心と心の触れ合いを実現するという方向を目指している。このような中で、ユニバーサル・コミュニケーション技術は知的創発プログラムという位置づけとなっており、中核技術は以下のようなものである。

◆【超臨場感コミュニケーション】
3D映像などによる超臨場感により、バーチャルとリアルの境目のない立体テレビコミュニケーションをつくる

◆【スーパーコミュニケーション】
言語、知識、文化の「壁」を感じさせない超越コミュニケーションをつくる。

◆【高度コンテンツ創造流通】
映像、楽曲、辞書などあらゆる知の情報を誰もが簡単に、高度に活用できる、
高度なコンテンツの検索・編集・流通技術。

◆【ユビキタス&ユニバーサルタウン】
センサーネットワークやロボットなどにより、高齢者・障害者をはじめ人に優しく
地球に優しいユビキタスネット環境をつくる。

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◆ユニバーサル・コミュニケーションのロードマップ

2010年までを創成期、2015年までを発展期とし、ここ10年での実現を目指している。製品やサービスの市場規模としては、2020年の時点で最大50兆円の規模が見込めると予測されている。ユニバーサル・コミュニケーションの市場は、新たなコンテンツの価値の創発、新産業の創生、異分野の融合などといった、未来型ビジネスが期待されている。たとえば、2006年以降、ハリウッドでは立体映画の本格化が予想されている。このように、立体映像コンテンツをはじめとして、ユニバーサル・コミュニケーションという考え方での市場発展が、大いに期待されるところだ。







          【脳で情報機器を動かす、脳とITの融合時代へ】


ブレイン・マシン・インタフェース・・・脳波により、機械などを操作する技術は、1980年代に脳とコンピュータをつなぐ研究が始まり、90年以降、各国で研究が進んできた(筆者も調査研究をした経験がある)。とくに90年、米国では、脳研究に重点的に取り組む、「脳の10年」がスタートし、国を挙げた取り組みにより、多くの研究成果が得られている。一部軍事的な利用はあるが、医療福祉面でのニーズは強く、国内でも、体を思うように動かせない人がコンピュータを使えるようになる研究が進んでいる。MRI(磁気共鳴画像装置)などの脳診断装置、脳波研究の高度化普及が背景にあるとも考えられる。

理化学研究所では、体を動かせない患者に脳波計をつけてもらい、コンピュータを操作する実験を行っている。考えるだけで、テレビや室内灯をつけたり消したりできるという。またNTTドコモやキヤノンなどでも携帯電話等の情報機器への応用研究をおこなっている。ソニーは、脳波のほか、血圧などの生体データを使って、快、不快を判断しながら、気分に応じた音楽を自動的に流せる研究を進めている。ホンダでは、ASIMOと組み合わせて、人に優しい介護ロボットなどの実用化を目指している。

脳波を調べることで、消費者心理をとらえる、ニューロ・マーケティングの手法も注目されている。
たとえば、新車のデザイン開発や、映画の予告編製作等に活用する動きである。

一方、人体の一部を機械に置き換え、脳と機械が直接つながった、システム・サイボーグといった
研究も進められている。ここでは、脳神経工学の研究が急速に発展している背景もある。

サイボーグといえば、SFの世界を連想しやすいが、すでに医療の世界では、身近なところでは、
人工歯(入れ歯)、白内障の手術で利用される人工レンズ、人工心臓、義手、義足、人工骨、、、、
と意外と数が多いのに驚かされる。脳や触覚センサーなどの情報が義手や義足などと密接に
つながることで、患者をよりサポートしやすくなる。

また、最近では動物のほか、人体用チップの埋め込みといった事象も多くなってきた。
コメ粒大のチップを人体に埋め込み、患者の病歴照会や立ち入り制限区域へのアクセス制御といったことを米国オハイオ州などが進めている。ここでは、米ベリチップ社の人体用マイクロチップ「ベリチップ」が使われている。すでに、軍事利用やエンタテイメントの世界での利用はあるが、実用面での広がりは注目される。こうしたシステム・サイボーグの世界は、将来的に、既存のウェアラブル機器とも密接につながってくるものと考えられる。

脳を生かす研究会   http://www.cns.atr.jp/nou-ikasu/proposer.html



(2006.6 Marketing Team )



                  【セレンディピティとノーベル賞】

●ミスや偶然から、新発見をするという意味で、セレンディピティ(serendipity)という言葉がある。これは、2000年のノーベル化学賞受賞者の白川博士の会見に出てきた。材料を実験計画の何百倍も入れるというミスから新材料の開発につながったのである。2001年の野依氏、2002年の田中氏というように、日本人のノーベル化学賞の受賞者が続出しているが、その偉大な業績の中に、「セレンディピティ」が関係するといわれている。

●このように科学技術で知られるようになった、このセレンディピティではあるが、研究開発、ビジネス戦略を進めていく上においても、関連してくると思われる。本屋さんで読みたい本を探そうとして、つい近くの本にひきつけられ購入してしまった、本屋に足を運んで、よかった、というようなことも多々ある。世界の調査会社から発行されている報告書の検索を行うことで、当初考えたレポートよりも、内容の深い調査報告書にめぐりあうこともありうるだろう。。






               【バイオ・IT・ナノ融合ビジネスの可能性

バイオテクノロジーは、IT、ナノテクノロジーとの融合により、新たな未来を創造してゆくものと考えられる。生命現象に関する研究の推進、新規事業の創出など、社会全体への貢献は著しいものがあるといえよう。

DNAやタンパク質などを対象とするバイオテクノロジーは、半導体、無機高分子などを対象とするナノテクノロジーと融合してゆく可能性がある。国家戦略の視点からも、重要なテーマである。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、経済産業省をはじめ、研究プロジェクトが大きく推進されようとしている。

▼新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
http://www.nedo.go.jp/informations/other/141128_3/141128_3.html

▼新機能素子研究開発協会(FED)
バイオ・ナノテクノロジー融合への期待と課題(PDF 355KB)
http://www.fed.or.jp/salon/bio/matome01.pdf

▼新機能素子研究開発協会(FED)
バイオ・ナノテクノロジー融合がもたらす社会と人への恩恵(PDF 412KB)
http://www.fed.or.jp/salon/bio/matome03.pdf


(2002.12 Marketing Team /AQUARIUS)

調査研究者のコラム特別編集編

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