はじめに
Ø 仮想通貨(暗号通貨、Cryptocurrency)および、ブロックチェーン技術は、大局的流れから経済活動を考えると、今後の世界経済、日本経済にとり極めて重要なテーマである。
Ø 仮想通貨については、金本位制→石油本位制ドル→暗号通貨(仮想通貨)といった流れがあり金融の根本に関わってくる。またICO(仮想通貨による資金調達)はまだ始まったばかりであるが、今後のスタートアップ、企業、大企業にいたるまで、その活用しだいでは大きく未来が変わってくることから、ビジネスとしても重要なテーマである。
Ø ビットコイン、仮想通貨の乱高下、またハッキング事件等何かとあわただしい業界であるが、未来へ向けた市場戦争は始まっており、安易な取り組みでは未来の勝者となることは難しい。
Ø 当調査では、ビットコイン、仮想通貨のこれまでの総資産データを分析し、ABCシナリオに基づく市場予測を行っている。ポジティブなAシナリオでは、仮想通貨は急騰急落はあるものの、年成長率数十%以上といった、高成長が続き、世界中で利用が大きく進み、独自の仮想通貨を発行する企業、独自の仮想通貨を発行する国も続出。法律整備とともに、大きく市場拡大してゆく、とみている。このシナリオでは、仮想通貨全体の総資産は、2018年末、6,270億ドル(約66兆円)見通し、2022年末には、17,910億ドル(約190兆円)程度になる。また2028年には金(ゴールド)の総資産8.2兆ドル規模に匹敵する規模になるとみている。イーサリアムのようにスマートコントラクト機能などを有する価値ある仮想通貨が充実してくることから、金融的価値がしだいに認識されてくるものと考える。なおネガテイッブCシナリオでは、ゆるゆかな低位成長が続く、とみている。
Ø 12月だけで74件となったICOは2017年トータル60億ドル規模となり、この勢いは続くものと考えており、日本でも需要拡大が展望できる。
Ø 仮想通貨ICOとともに注目されるテーマはクラウドマイニングである。すでに海外企業、Genesis Mining 、Hash Flare 、Gigawatt 、Hydrominerなどがサービスを展開しており、日本企業も、DMM、GMO、SBIなどが事業化を進めている。BITMAIN社などの中国企業のマイニング独占は業界の未来にとっても、51%攻撃の問題等あり、望ましくない。
Ø 注目されるマイニングではあるが、詐欺まがい、詐欺的事件があとを絶たず、日本だけでなく、世界的に見ても業界に暗い影を落としている。当調査では実際的に被害にあった数十人からコメントを得ているが、誇大広告、巧妙なセールステクニックなど実態を調査した。マイニングビジネスの健全化、ひいては暗合通貨、仮想通貨市場の健全化、未来ビジョンを提示している。
Ø いっぽう、ブロックチェーンはビットコインの基盤技術から発展し、独自のブロックチェーン技術市場として発展してゆく。この技術は、オープンなネットワーク上で信頼性が求められる金融取引や重要データのやりとりなどを可能にする分散型台帳技術として注目されている。
Ø 用途としては金融にとどまらず、不動産、流通、行政、医療、音楽、エネルギーなど、幅広い分野があるが、実証実験からはじまり実用化へ向けて加速してきている。とくに、世界ではスタートアップに巨額の投資資金が流れており、大きな潮流となっている。ブロックチェーンのグローバル市場は、年率、45~55%前後の成長が見込まれる。2018年、570百万ドル、2019年、860百万ドルで推移、2022年には、3,000百万ドル(約3,180億円)規模になると予測される。当初金融分野中心の市場形成であるが、2021年には非金融分野の占める割合が金融分野を上回るようになるとみられており、不動産、流通、医療、音楽、サービスなどの非金融分野の動向が注目される。
Ø 当調査報告書は仮想通貨、ブロックチェーンの内外の市場動向をふまえ、仮想通貨、ブロックチェーンの市場分析、市場予測を行ったものである。当調査報告書が皆様のビジネス開発、研究開発、製品サービス開発に少しでも寄与できれば幸いである。
AQU先端テクノロジー総研
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